Responseが遅れて、すいません。臨床倫理と肺がん治療を専門にしております。臨床倫理の立場からの話が大事と思っています。認知症そのもののレベルよりも先に、まず、「患者の意向」が一番大事かと思います。先日の国がんの小川先生の講演にもあったように、医療者側の支援もした上で、がんの告知、治療のゴールが治癒なのか、生存期間を伸ばすことなのか、症状を緩和することなのか、一般的な副作用とその患者さんに特に注意しないといけない個別の副作用はどうなのか(セルフマネジメントもしていただかないといけないので)を、ある程度はわかって、抗がん薬の治療のしたいかどうかという話になります。よく、誤解があるのは、患者を抜きにして、家族に代理決定をさせている臨床場面があります。日本では、法律上は、成人の場合には代理決定権を認めていません。患者の身体・財産に関わることは患者本人にしか決められません(一身専属の権利と法では言われます)ので、厳密には家族に代理決定権はありません。患者の意思決定能力がないということであれば、その患者の意思推定ができる、言い換えると人生観・価値観をよく知っており、患者の最善の利益となることを代弁できる家族等(この等があるのは、親しい友人なども含むためです)と医療チームが話し合って一緒に考えましょうということです。詭弁に聞こえるかもしれませんが、家族は患者の意思が推定できるだろうという代弁者の立場であって、代理決定者ではないということです。それで、患者自身の意思がどうしても必要ということで、ACPで将来の自分の意向を残しておいてもらいたいとか、支援の努力を何なんとかして、患者の意向の「断片」を拾い集めて、患者の意思の参考として、皆で考えようというのが入り口かと思います。その後は、支援者たる家族に介護の過度の負担が来ないのかとか、むしろ老年内科の先生方が専門のことかと思いますし、がんを治療する側としては、治療関連死は嫌避けたいので治療が安全にできるのかという観点も見ます。認知症のタイプ、アルツハイマー型、脳血管障害型、レビー小体型、前頭葉障害型など様々で、患者の予後も変わってくると思いますし、医学的にも車騎的にも複雑な要素が絡み合ってきますので、スコアでマニュアル的に決めるというよりも、多職種カンファレンス、理想をいえば、患者・家族参加型のカンファを行い、皆で最善は何か、悩み考えましょうかということかと思っています。